白衣やスクラブはおしゃれなものを！
〜ナースウェアの変遷について〜

看護の始まりとナイチンゲール

看護の始まりは、中世のカトリック教会の修道女が病人のケアを行ったことがきっかけと言われています。

1853〜1856年のクリミア戦争で、ナイチンゲールが傷病兵の手当てにあたり、死亡率を改善させたことは有名な話です。献身的な看護や衛生管理は高く評価され、看護が確立されました。この頃は、床に付きそうな長い裾で長袖のワンピースの上から、袖のない白いエプロンや頭全体を覆う白い帽子で、手首から足首まで覆うスタイルでナーシングケアが行われていました。

日本でのナースウェアの登場

ナイチンゲールの影響を受け、1885年に日本でも看護師を養成する教育が始まります。この時の制服は、筒袖の上着に袴のような長いスカート、草履を合わせた平常着のほか、肩にパットを入れた詰襟の上着に8枚ハギで裾が長いスカートの式服でした。

1915年には看護婦規則が制定され、「看護婦」という呼び方が定着します。昭和になり、日中戦争が起こった1937年に戦場へ看護師を送り、この時に初めてワンピーススタイルのナースウェアが採用されました。この頃は裾が長く長袖のワンピースと大きめのナースキャップでしたが、第二次世界大戦後、アメリカの医療機関で働く看護師の影響から、日本でも綿素材のワンピース型ウェアが定着します。

「保健衛生法・環境衛生法」も制定され、看護師は清潔な白衣を着用することが義務となりました。

デザインや機能性が求められるように

戦後、女性の権利回復や社会活動の活発化とともに、ナースウェアも大きく変化していきます。スカートの丈が短く袖は半袖タイプに、ナースキャップは小さくなるなど、動きやすさが求められるようになりました。

素材はポリエステルなどの化学繊維が中心になり、制菌性や制電性、防皺性といった機能性に優れたウェアが開発されます。また、1970年代にはパンツファッションがブームとなり、ナースウェアもパンツスタイルが注目されるようになり、1990年代後半にはパンツスタイルが主流となります。また、ナースキャップの廃止も広がりました。

現在では、医療用ユニフォームにスクラブが取り入れられ、これまで白を基調としたナースウェアもカラフルになりましたし、実用性を求めたスタイルが広く浸透しています。